クエリ
クエリは、1 つのサーバーデータを記述します。記述するのは、キャッシュに使うキーと、データを取得する関数です。同じキーを表示するウィジェットはすべて、同じキャッシュエントリとリクエストを共有します。そのため、データをウィジェットツリーの下へ渡す必要はありません。
Query<Todo> todoQuery(int id) => Query( queryKey: ['todos', id], queryFn: (context) => api.getTodo(id), staleTime: const Duration(minutes: 1), );すべてのオプションの一覧はクエリのオプションにあります。クエリがいつ取得し、データがいつメモリから削除されるかは、キャッシュのしくみで説明しています。
キーは、キャッシュエントリを指すリストです。Fuery はキーを値で比較します。そのため、2 つのウィジェットでそれぞれ作った ['todos', 1] は、1 つのキャッシュエントリと 1 つのリクエストにまとまります。
キーの要素は、一般的なものから具体的なものへ順に並べてください。たとえば ['todos']、['todos', 1]、['todos', 1, 'comments'] の順です。こうすると、['todos'] を無効化したときに、['todos'] で始まるすべてのキーが更新されます。
キーには null、bool、num、String、enum、DateTime、リスト、マップ、toJson() メソッドを持つオブジェクトを含められます。Fuery はキーを JSON 形式で比較します。
DateTimeは ISO 8601 文字列になります。- enum は、
'Filter.done'のように型と名前になります。 - オブジェクトは、
toJson()が返す値になります。 - マップのキーは文字列になります。そのため、
{1: 'a'}と{'1': 'a'}は同じキーです。 - マップの要素の順序は関係ありません。
1と1.0は、モバイルとデスクトップでは別のキー、Web では同じキーです。キーの数値にはintを使ってください。
各キーが保持するデータ型は 1 つです。キーを別の型で使うと、Fuery は StateError をスローします。対処法はトラブルシューティングを参照してください。
クエリを使う
Section titled “クエリを使う”クエリをウィジェットに渡してください。Query はデータを持たず、何も開始しません。そのため、build の中も含め、必要な場所ならどこで作ってもかまいません。
QueryBuilder( query: todoQuery(widget.id), builder: (context, state) => Text(state.data?.title ?? '…'),)ウィジェットは、マウントされている間、クエリのオブザーバーを 1 つ保持します。オブザーバーはデータを取得し、変更があるたびに結果を報告します。新しい id など、別のキーでウィジェットがリビルドされると、オブザーバーもそのキーに切り替わります。state の内容の一覧はクエリの結果にあります。
ウィジェットの外、つまり Cubit、サービス、State のフィールドでは、observe() を 1 回だけ呼び出し、オブザーバーを保持してください。
final todo = todoQuery(1).observe();todo.stream.listen((result) => print(result.data));build の中で observe() を呼び出さないでください。observe() は呼び出すたびにオブザーバーを作り、そのオブザーバーが改めて購読して取得します。アプリが大きくなったときのクエリの置き場所はクエリを整理するで紹介しています。
クエリのデータは null にできない
Section titled “クエリのデータは null にできない”Fuery は「まだデータがない」ことを null で表します。そのため、クエリ関数は Future<User> のような非 null 許容型を返します。表示するものがない場合は、空のリストなどの空の値を返すか、エラーをスローしてください。
staleTime と鮮度
Section titled “staleTime と鮮度”データは staleTime(デフォルトはゼロ)の間は新鮮(fresh)で、その後は古く(stale)なります。古いデータも画面に表示されたままです。ウィジェットやストリームがクエリを使い始めたとき、アプリがフォアグラウンドに戻ったとき、ネットワークに再接続したとき、クエリを無効化したときに、Fuery はバックグラウンドでデータを再取得します。すべての段階の一覧はクエリのライフサイクルにあります。
staleTime には、サーバーに問い合わせ直さずにデータを表示してよい時間を設定してください。
Duration(minutes: 1)は、取得のたびにデータを 1 分間新鮮に保ちます。その 1 分の間は、ウィジェットやストリームがクエリを使い始めても、アプリがフォアグラウンドに戻っても、ネットワークに再接続しても、Fuery は再取得しません。ただし、クエリを無効化すると再取得します。infiniteDurationは、無効化するまでデータを新鮮に保ちます。staticStaleTimeは、変わることのないデータ向けです。データは古くならず、Fuery が自動で再取得することもありません。無効化した後も同じです。
2 つの画面が、異なる staleTime で同じキーを表示することもできます。その場合、各画面は自身の staleTime で鮮度を判断します。30 秒前に取得したデータがあるとき、クエリの staleTime が 10 秒の画面は、開いたときに再取得します。staleTime が 1 分の画面は、再取得せずにキャッシュされたデータを表示します。
どのウィジェットもストリームも使っていないデータは、gcTime(ガベージコレクション時間、デフォルトは 5 分)の間メモリに残ります。その間にもう一度開いた画面は、データをすぐに表示します。
再試行するエラーを選ぶ
Section titled “再試行するエラーを選ぶ”取得が失敗すると、デフォルトでは 1 秒、2 秒、4 秒と待ちながら 3 回再試行します。そのため、決して成功しないリクエストは、エラーの分岐にたどり着くまで約 7 秒かかります。再試行する価値のあるエラーだけを再試行してください。
Fuery.client = QueryClient( defaultOptions: DefaultOptions( queries: QueryDefaults( retry: RetryPolicy.when( (failureCount, error) => failureCount < 3 && error is! NotFoundException, ), ), ),);RetryPolicy.when では、最初の失敗の failureCount が 0 です。そのため、failureCount < 3 で 3 回再試行します。一方、QueryResult.failureCount は失敗した試行の回数なので、最初の失敗の後は 1 です。
デフォルトは RetryPolicy.count(3) です。ほかの省略形として RetryPolicy.never() と RetryPolicy.always() があります。クエリごとに独自の retry も設定できます。client.query とミューテーションは、定義かデフォルトで retry が設定されている場合にだけ再試行します。
クエリが取得する内容を変える
Section titled “クエリが取得する内容を変える”検索フィールドやフィルターでは、ユーザーの入力に合わせてキーが変わります。検索語を状態に保持し、その検索語からクエリを作ってください。
Query<List<Todo>> searchQuery(String term) => Query( queryKey: ['todos', 'search', term], queryFn: (_) => api.searchTodos(term), enabled: term.isNotEmpty, placeholderData: keepPreviousData, );
QueryBuilder( query: searchQuery(_term), builder: (context, state) => TodoList(state.data ?? const []),)enabled: falseにすると、クエリは自動で取得しなくなります。そのため、検索語が空のときはリクエストを送りません。それでもstate.refetch()は取得します。placeholderDataは、次の検索語の結果を読み込む間、前の結果を画面に表示したままにします。前のページを表示したままにするを参照してください。- 検索語ごとにキャッシュエントリがあります。そのため、前の検索語に戻ると、その結果がすぐに表示されます。
setState を呼び出す前に、ウィジェットの中で Timer を使ってデバウンスしてください。ウィジェットの外では、次のクエリをオブザーバーの setOptions に渡してください。
ほかのクエリに依存するクエリ
Section titled “ほかのクエリに依存するクエリ”クエリが必要とする値をもとに enabled を設定してください。
Query<List<Project>> projectsQuery(String? userId) => Query( queryKey: ['projects', userId], queryFn: (_) => api.getProjects(userId!), enabled: userId != null, );または、1 つ目のクエリのビルダーの中で、値が得られてから 2 つ目のクエリを作ってください。
QueryBuilder( query: userQuery, builder: (context, state) => switch (state.data?.id) { final userId? => QueryBuilder( query: projectsQuery(userId), builder: (context, projects) => ProjectList(projects.data), ), null => const CircularProgressIndicator(), },)前のページを表示したままにする
Section titled “前のページを表示したままにする”キーが新しくなると、データが届くまで pending 状態を表示します。placeholderData を設定すると、代わりに前のキーのデータを表示します。
Query<List<Post>> postsQuery(int page) => Query( queryKey: ['posts', page], queryFn: (_) => api.getPosts(page), placeholderData: keepPreviousData, );
QueryBuilder( query: postsQuery(_page), builder: (context, state) => PostList(state.data ?? const []),)_page が変わってもウィジェットは同じオブザーバーを保持するので、オブザーバーには表示できる前のページが残っています。ページごとに作ったオブザーバーには、前のページがありません。
次のページを読み込む間、state.isPlaceholderData は true です。この値を使って、リストを薄く表示したり、次へボタンを無効にしたりしてください。無限スクロールには、代わりに無限クエリを使ってください。
keepPreviousData には、postsQuery の戻り値の型など、周囲からデータ型が与えられている必要があります。Dart が型を推論する Query(...) では、代わりに (previous, client) => previous と書いてください。そこで keepPreviousData を使うと、Dart はデータ型を queryFn から取らずに Object と推論します。
スピナーなしで詳細画面を開く
Section titled “スピナーなしで詳細画面を開く”詳細画面が取得する項目は、一覧画面がすでに持っています。その項目をプレースホルダーデータとして返してください。
Query<Todo> todoQuery(int id) => Query( queryKey: ['todos', 'detail', id], queryFn: (_) => api.getTodo(id), placeholderData: (previous, client) { if (previous != null) return previous; final todos = client.getData(todosQuery); return todos?.firstWhereOrNull((todo) => todo.id == id); }, );placeholderData はクエリを実行するクライアントを受け取るので、テストや FueryProvider の下でも正しいキャッシュを読み取ります。Fuery はプレースホルダーデータをキャッシュしません。取得は通常どおり実行され、完全な項目がプレースホルダーデータを置き換えます。取得したデータとしてキャッシュに入れるべき値には、代わりに initialData を使ってください。
処理が終わるまでポーリングする
Section titled “処理が終わるまでポーリングする”refetchInterval は、ウィジェットやストリームがクエリを使っている間ポーリングし、アプリがバックグラウンドにある間は一時停止します。
final prices = Query( queryKey: ['prices'], queryFn: (_) => api.getPrices(), refetchInterval: const Duration(seconds: 10),);ジョブが終わったらポーリングを止めるには、refetchWhile を追加してください。Fuery は変更のたびに refetchWhile を確認します。false を返すとポーリングは止まります。クエリを無効化した後などに true を返すと、ポーリングが再び始まります。
final job = Query( queryKey: ['jobs', id], queryFn: (_) => api.getJob(id), refetchInterval: const Duration(seconds: 2), refetchWhile: (state) => state.data?.isDone != true,);refetchWhile は最初のデータが届く前にも実行されます。そのため、state.data が null の場合も処理してください。
変わった部分だけをリビルドする
Section titled “変わった部分だけをリビルドする”Fuery は、再取得したデータとキャッシュされたデータを深く比較し、変わっていないキャッシュ済みのオブジェクトをそのまま残します。
- 等しいデータは同じオブジェクトのままです。
- 変更があったリストでは、同じインデックスの項目と等しい項目が、以前のオブジェクトのままになります。項目は
==で比較します。
そのため、buildWhen のようにデータを == で比較するコードは、何も変わっていなければ変更なしと判断します。List は同一性で比較しますが、次のビルダーは、再取得が同じ Todo を返したときにリビルドをスキップします。
QueryBuilder( query: todosQuery, buildWhen: (previous, current) => previous.data != current.data, builder: (context, state) => TodoList(state.data ?? const []),)構造共有はデフォルトでオンです。データの比較にコストがかかるクエリでは、structuralSharing: false を設定してください。
リクエストをキャンセルする
Section titled “リクエストをキャンセルする”リクエストをキャンセルできるようにするには、クエリ関数で context.signal を読み取ってください。すると、どのウィジェットもストリームもクエリを使わなくなったとき、Fuery は取得をバックグラウンドで完了させずに中止します。
queryFn: (context) { final cancelToken = CancelToken(); context.signal.onAbort(cancelToken.cancel); return dio .get('/todos', cancelToken: cancelToken) .then((response) => Todo.listFromJson(response.data));},シグナルを使わない場合、リクエストは最後まで実行され、Fuery は次回のためにその結果をキャッシュします。
context.signal は AbortSignal です。複数の段階で処理するクエリ関数は、段階の間で signal.aborted を確認できます。signal.throwIfAborted() を呼び出して、キャンセルの CancelledError で止めることもできます。signal.whenAborted と自身の処理を競わせることもできます。Fuery がシグナルを中止するときは、必ずその CancelledError を使い、AbortedException は使いません。
Fuery はキャンセルを失敗として扱いません。
- デフォルトでは、
cancelQueriesはクエリを取得前の状態に戻します。 CancelledErrorがQueryCacheConfig.onErrorに届くことはありません。- キャンセルされた取得が遅れて完了しても、その後に取得または書き込まれたデータを上書きすることはありません。
最新でないデータをキャッシュに入れてしまうのは、中止を無視して値を返すクエリ関数だけです。
クエリ関数自身がスローした CancelledError は、ほかのエラーと同じ失敗です。たとえば、context.client.query(userQuery) を await するクエリ関数は、userQuery が読み込み中に削除されたり、データを持つ前にキャンセルされたりすると、CancelledError をスローします。Fuery は、CancelledError をスローした関数のクエリを、その retry が許す範囲で再試行します。すべての試行が失敗すると、そのクエリは error 状態になり、QueryCacheConfig.onError が CancelledError を受け取ります。
サンプルアプリでは
Section titled “サンプルアプリでは”サンプルアプリは、検索画面で検索中に前の結果を表示したままにします。また、投稿作成画面で、新しい投稿が公開されるまでポーリングします。サンプルアプリの README に、各画面で示している内容の一覧があります。